32 分子科学研究所の概要
分子科学研究所では特別研究の一環として,1976年から2000年までの間に,「岡崎コンファレンス」を65回開催し た。このコンファレンスの性格は,「研究発表を主旨とするものではなく,共通の興味と問題に関して,いわば思索の 過程において相互に経験や意見を交換することを主旨とする非公式の会合(赤松秀雄初代所長,分子研レターズ第1 号より)」であった。残念ながら,文部省により特別研究の廃止の決定がなされたため,岡崎コンファレンスも中止を 余儀なくされた。しかしちょうど時期を前後して,分子科学研究所が C OE (C enter Of E xcellence)機関として指定さ れ,それに伴って1997年から毎年1件の国際会議の費用が計上されることになった。そこで岡崎コンファレンスを引 き継ぐ性格を持つものとして,分子科学研究所における C OE コンファレンスが発足することとなった(ただし C OE コ ンファレンスは分子科学研究所に特有のものではなく,C OE に認められた全ての機関に共通のものであり,その点で 岡崎コンファレンスとは異なる)。C OE コンファレンスでは,所内の提案代表者からの提案をもとに,毎年文部科学省 に対して開催の申請を行っている。
この C OE コンファレンスは所内の提案代表者からの提案をもとに,年1件ずつ開催の申請を行っており,2002年度 までに7回開催された。岡崎コンファレンスと同様,採択された主題の提案者を中心とした世話人に,外国人招待者 を含めた講演者の選定ほか,全ての運営が一任されている。その分野で活発に研究を行っている第一線の外国人研究 者と国内の研究者が膝を交えて非公式に議論を交わすことによって,問題に対する意識を深め展望を拓く契機となっ ている。またそこで形成された人間関係は研究面のみならずあらゆる面で大きな影響を及ぼしている。若い研究者を 刺激し彼らの研究意欲をかきたてていることも重要である。このような形のシンポジウムは,国内でしばしば開催さ れている短期プロジェクトに基礎をおくものとは目的が異なり,長期的視野からの展望を議論する国際的な場を提供 するものであり,内外の研究者からもその成果について高い評価を得ている。
岡崎コンファレンスやC OE コンファレンスのような形での国際交流事業は共同利用研究機関の重要な機能の一つで あるといえ,今後も継続が望まれる。
開催一覧(回 課題,開催日,提案代表者) 1.「電子構造と反応ダイナミックス」1997.3.17 ∼ 3.20
花崎一郎(分子研教授)
2.「励起状態と非断熱遷移の分子科学」1998.3.25 ∼ 3.28 中村宏樹(分子研教授)
3.「原子・分子の高分解能分光:現状と将来」1999.3.17 ∼ 3.19 斎藤修二(分子研教授)
4.「分子クラスターの構造研究における理論と実験との共同作業」1999.12.20 ∼ 12.22 西 信之(分子研教授)
5.「分子集合体の電子物性―分子固体から単一分子まで―」2001.3.15 ∼ 3.17 小林速男(分子研教授)
6.「水系メディア中での化学反応」2001.10.2 ∼ 10.3 魚住泰広(分子研教授)
7.「金属蛋白質の動的構造と分子設計」2002.11.18 ∼ 11.21 北川禎三(統合バイオサイエンスセンター教授)